営業支援ソフトの相反

 SFA(Sales Force Automation)は、営業支援や顧客管理を目的としたシステムのことです。情報共有ツール(グループウェア)が大企業や中小企業で飽和し、新規導入が見込めない中、営業改革のコンセプトツールとして中小企業への新規導入が期待されています(中小企業SFA導入率は12%程度)。

 ソフトウェアイメージとしてのSFAとは、グループウェア機能に顧客管理機能と営業マン行動管理機能が付加されたようなものです。つまり効果的な顧客情報共有と営業マン育成のためのシステムなのです。しかし、市販のSFAには2つの大きな相反事実が存在しています。

1.営業力(マン)を平均化・凡人化するシステムです。新人に対して型通りのルーチンワークを教育し、その行動を管理することには適していますがそれだけです。優秀な先輩セールスのノウハウをシステムに反映できるようになっていません。ですから新人セールスがある程度成長したら、SFAから卒業させるべきなのです。ましてや優秀なセールスやセールスマネジャー、場合によってはトップセールスにまでSFAを強要させることなどありえないのです(凡庸なルートセールスマンを大量生産したいのなら別ですが)。真に使えるSFAとは、トップセールスのノウハウを生かすことのできるシステムです。

 以前、あるSFAの導入セミナーに参加した際に、講師として来ていた導入企業の担当役員に、この疑問点をぶつけたことがあります。

  • 人材派遣会社役員の回答は『確かにその点に不満を感じている』
  • 道路建設会社役員の回答は『トップセールスなど我社に必要ない』

2.優秀なセールスほど他人と営業面での情報共有をしません。また行動管理されることを極端に嫌います。そして無意味な行動をしません。仕事をしているフリなど全く価値がないのです。意味のない日報を書くことすらやらないでしょう。ましてやSFAなどはペケです。トップセールスが積極的に使いたい、情報共有したいという強い動機付けができるなら、そのSFAは画期的です。

 私は、将来プロジェクトが組むことができれば、「システム手帳」「グループウェア」「SFA」「携帯電話」のいいとこ取りした実用性の高いビジネスツールを商品企画してみたいものです。シンプルで快速動作、マニュアル不要の直感動作、キュートなデザインは必須です。もちろん1と2の問題も解決します。

 SEがSFAをセールスを想像しながら設計するなどナンセンスです。しかし、いくら営業が優秀でも設計はできません。融合のポイントはUMLwikipedia:統一モデリング言語)です。