優柔不断なカレー屋さん

 大手系列ではなく、夫婦経営のカレー屋さんの話です。カレー専門店ならではの拘りの料理が用意されており、店の雰囲気も悪くありませんでした。ただお客さんはあまり来ていないようです。

 原因はライスにありました。味や米の品質とかではなく、「かたさ」に問題があるのです。出されたライスは、軟らかでもなく硬くもなく、真ん中でもありませんでした。水っぽくやや芯がのこったような食感だったのです。

 不思議に思い店主に訊ねたところ、開店当初はややかためで出していたところ、年配のお客さん達からクレームがついたのだそうです。そうかと思い、軟らかめで出したところ、今度は若い人たちやカレー通の人たちから評価が悪かったのです。結局どうしていいかわからず、このような中途半端なものを作り出し提供していたのです。

 完全な自滅パターンです。この場合の正解は二種類のライスを用意するか、どちらか一つにすれば良かったのです。客商売だからといってお客さんの顔色や意見ばかりに左右されていると必ず自滅します。自分の信念のラインを決して崩さず、そのライン外でお客さんの意見や要望を取り入れるべきなのです。