ヘビースモーカーの禁煙

 最終的に私は1日5箱のヘビースモーカー(あるいはチェーンスモーカー)となっていました。そしてその後、それ相応の苦痛と苦悩と努力で禁煙することができて7年が経ちました。人生初の挑戦で成功できた経験や助言を述べたいと思います。ただし自己流ですから自己責任で参考にしてください。より確実に安全に禁煙したい人は専門医に行きましょう。

 【半箱】禁煙を考えるに、1日に半箱程度なら何の苦も無くやめれるでしょう。ふとそう思うだけで可能なはずです。通常は半箱から1箱へと増えて2箱位で一旦停滞します。ですからこのタバコ半箱の時に禁煙すべきなのです。

 【1箱】1箱になると思うだけでは無理でしょう。強い決心をもって望むか、意志の弱い人は禁煙ガムを使うと良いです。取説を良く読んでから噛まないと後悔します。普通のガムのように噛むとタバコで荒れた喉に痛くしみます。コツは穏やかな気持ちで、ゆっくりと噛んでいきます。唾液で薄めるような感覚です。それでも少しはしみますが、長く噛んでると段々しみなくなってきます。

 【2箱】2箱以上は3箱も4箱も変わりなく慎重な計画が必要です。極めて中毒性が高いからです。既にヘビースモーカーの一員です。禁煙のチャンスは最初の1回だけかもしれません。

 計画1:何もせずゴロゴロ寝ていられるような純粋な休暇を最低8日、理想的には3週間取ります。禁煙のためだけの、自分だけの時間として用意します。

 計画2:禁煙ガムと禁煙パッチを購入しておきます。可能なら成分量の多い米国仕様なものがより効果的かもしれません(私の場合は国内未販売だったこともあり、米国出張時に購入しました)。成分量の低い禁煙ガムなどは全く効かない場合もあります。また、熱冷ましシートなども必要になります。

 計画3:身の回りを全て禁煙環境にしてしまいます。家族や恋人に喫煙者が残っていると必ず失敗します。一緒に禁煙しましょう。因みに恋人が禁煙しているかどうかは、キスで100%わかります。また、可能なら職場や店舗も全面禁煙としましょう。そうできないなら、喫煙者のいる空間に絶対に近づかないようにします。それから残ってるタバコや灰皿やライターを捨てます。どんなに高価なものであってもあっさりと処分しましょう。

 計画4:禁煙による苦痛を前もって知っておくことです。「熱がでるか、でてるよな症状になります」「微熱が続くか、そのような感覚が続きます」「ぐったりして身動きできません」「常にイライラします」「頭が全く働きません」「判断力が極端に鈍ります」酷い風邪で寝込んでるような状態をイメージすると良いでしょう。


 さて実践です。上記の症状は、禁煙後直ぐに始まり1日後にはピークになり3日位は継続します。その後徐々に回復に向かうのですが1週間位はキツイでしょう。3週間が過ぎる位でかなり楽になります。

 禁煙中は、断続的に強烈な吸いたい衝動に襲われます。禁煙始めは常時であり、時間の経過とともに減少していきます。3ヵ月位で回数は激減しますが欲求度は同じなので、油断はずっと禁物です。この衝動を抑制するために、禁煙パッチや禁煙ガムを使います。禁煙パッチも取説を良く読んで使用しないと後悔します。肌がかぶれたりします。痒くなったら場所を頻繁に変えましょう(取説では別かも)。

 私の場合は、最も強い禁煙パッチと禁煙ガムの併用からスタートし(この併用は認められていないかもしれませんので注意してください)、徐々に成分の低いものに移行していきました。そして禁煙ガムだけとなり3ヵ月目には何も必要としなくなりました。禁煙が成功したと自信が持てたのは半年が過ぎたあたりです。


 「こんな苦痛を何度も経験するのは絶対に嫌だ」辛かったときにいつも言い聞かせていたことです。このことが1回目で成功した一因だと確信しています。

 頻繁に見ていた夢は、よく吸っていた状況が再現されて、火のついたタバコが灰皿の上に置いてあり、話しだったりPCだったり何かに集中しているなかで、つい一口吸ってしまうのです。そして「ああ、なんて自分は意志が弱いんだろう」こう思った時に目が覚めます。不思議なのは禁煙仲間も同じ夢をみているということです。私はやっと最近見なくなりました。

 仕事をする上での注意事項です。禁煙すると「頭のキレ」が悪くなります。極端に悪い状況からは意外と早く脱出できるのですが、なかなかベストな状態に戻りません。仕事でヒラメキが欲しいときなどは本当に困ります。プラスアルファの成果がうまく引き出せないジレンマに陥ります。全盛期の8割から9割程度と自覚しておいた方が良いでしょう。では永遠に戻らないのでしょうか?たぶん大丈夫です。私の場合は5年過ぎに元に戻りました。まるで脳の伝達物質の入れ替え作業を行っていたかのようです。


※追記※

 理想的には徐々に本数を減らして1年くらいかけての禁煙じゃないかと思います。ヘビースモーカーからの瞬時の禁煙は重大な病気を発症させるという疑念を持っているからです。関連情報*1

 自己流よりも禁煙外来で治療することの方が安全です。

 喫煙は肺疾患だけでなく、各種がんの引き金になることを強く認識すべきです。今は見えない状態であっても10年後にはがんと診断されるかもしれないです。若者であっても飲酒・喫煙・肥満の3点セットは癌の創造点に関与するはずです。

 私の場合は、この記事を投稿した6年後に進行直腸癌ステージ3bが発覚しました。 『 ヘビースモーカー > (突然の禁煙?) > 糖尿病発生 > 大腸癌(直腸癌)発生 > 約10年〜15年後に発覚 』 このような構図が成り立ったのかもしれません。

*1:2012/2/29 禁煙後の糖尿病リスクについて | 多目的コホート研究(JPHC Study) | 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター