大腸癌(直腸癌)対策メモ Stage IV

最終情報更新日 2023/04/17

 前記事「大腸癌(直腸癌)対策メモ Stage IIIb*1からの続きです。尚、前記事冒頭のステータス表記で直腸癌確定時52才は53才の誤りです。

また、アメブロで「大腸癌(直腸癌)とある患者の所感」というブログも2015年11月から書いています。

本記事内では、ローマ数字が文字化けするために、Stage 表記などでの使用を避けています。*2



■ ステータス

  • 2016年05月:大学病院|「転移性右肺癌の疑い、胸腔鏡下右肺部分切除術(術前マーキング)」手術成功、術前マーキングは1番目に行う。入院8日後に退院(術前2日・術後6日の入院)



  • 2016年06月:大学病院|切除部位の病理検査結果 10mm(1番目)と8mm(2番目)の大腸転移癌2個、および癌ではない末梢リンパ節(3番目)1個が判明し、Stage IV*3となる。切除対象外となった3mm弱(4番目)の不明なものは、今後の経過観察対象となる。大学病院での腫瘍マーカーCEA値 1.4(基準値0.0-5.8)、CA-19-9値 10(基準値0-37)
  • 2016年08月:総合病院|大腸内視鏡検査・胸部腹部CT検査(造影剤)・腫瘍マーカーの各検査をクリア。切除対象外となった3mm弱(4番目)の不明なものの、癌の疑いが晴れる。目に見えるがんは無いことになる。総合病院での腫瘍マーカーCEA値 1.1(基準値0-5)、CA-19-9値 2以下(基準値0-37)
  • 2017年02月:胸部腹部CT検査(単純)をクリア。腫瘍マーカーCEA値 0.8(基準値0-5)、CA-19-9値 2(基準値0-37)
  • 2017年08月:胸部腹部CT検査(造影)をクリア。腫瘍マーカーCEA値 1.0(基準値0-5)、CA-19-9値 2(基準値0-37)
  • 2018年02月:胸部CT(単純)・上下腹部CT(単純+造影)検査をクリア。腫瘍マーカーCEA値 1.1(基準値0-5)、CA-19-9値 2(基準値0-37)
  • 2019年02月:CT検査(胸・腹・骨盤部)単純+造影をクリア。腫瘍マーカーCEA値 1.0(基準値0-5)、CA-19-9値 3(基準値0-37)
  • 2019年08月:CT検査(胸・腹・骨盤部)単純をクリア。腫瘍マーカーCEA値 1.4(基準値0-5)、抗P53抗体値 0.40以下(基準値0.00-1.30)
  • 2020年05月:CT検査(胸・腹・骨盤部)造影をクリア。腫瘍マーカーCEA値 1.6(基準値0-5)、CA-19-9値 3(基準値0-37)
  • 2023年04月:CT検査(胸・腹・骨盤部)造影をクリア。腫瘍マーカーCEA値 1.4(基準値0-5)、CA-19-9値 4(基準値0-37)


■ 関連注目文献

血行性転移 ・・・ 中部および下部直腸にできた癌は、先の下腸間膜静脈以外に内腸骨静脈を通じで下大静脈(IVC)へながれこむルートが主になります。下大静脈へながれこんだガン細胞は、肝臓を通過することなく心臓へもどり、そのあと肺動脈をつうじ肺へ転移するのです。 ・・・ 


大腸癌の進展 転移 イラストでみる大腸肛門病 飯原医院からの抜粋

手術後の転移性肺がん ・・・ 大腸がんはすでに手術を終わったので、大腸がんは存在しません。この状態で大腸がんの転移が突然肺に発生するのではありません。大腸がんの手術を受けた時点に、すでに肺に小さな転移性肺がんがあったと考えられます。転移性肺がんがあっても、胸部レントゲン検査や胸部CT検査などで転移性肺がんが発見されなかったのです。このような場合は、“大腸がんが肺に再発した”と表現しますが、実際は“当時は発見されなかった転移性肺がんが、今回は増大して発見された”ということなのです。 ・・・ 


転移性肺がんの基礎知識|東京慈恵会医科大学附属柏病院からの抜粋

 ・・・ 今回,結腸癌では多発肺転移例が,直腸癌では肺切除前 CEA 値が 5.0 ng/ml 以上,肺転移巣最大径 20 mm 以上,肺切除後化学療法を要する例が肺切除後予後不良因子であると考えられた.


本検討で予後不良因子として結腸癌が多発肺転移,直腸癌が肺腫瘍最大径 20 mm 以上となった理由として,血行性転移の機序が一つの要因と考えられる.


大腸癌の血行性転移が生じる際,結腸癌では門脈を経由して肝臓が,直腸癌では上直静脈を除く中直腸静脈と下直腸静脈が直接下大静脈を経由して肺がフィルターになるとされている.


そのため結腸癌での多発肺転移例では,肝臓のフィルター機能の破綻やリンパ行性転移などが生じていた可能性があり,直腸癌での肺腫瘍径が増大した多くは,フィルターである肺内で腫瘍が発育したことを意味し,これは妥当な結果と考える. ・・・ 


結腸・直腸癌肺転移における肺切除後予後予測因子に関する臨床病理学的検討|昭和大学医学部外科学講座呼吸器外科学部門|日本呼吸器外科学会雑誌第30巻第2号からの抜粋

■ 謝意

 私の大腸癌(直腸癌)治療に尽力してくださる地元の総合病院の皆様、転移性肺がん切除をしてくださった大学病院*4の皆様に心から感謝いたします。高度な治療を施していただき、誠にありがとうございます。満点以上の満足度です。

  • 地元総合病院:外科(大腸)主治医且つ執刀医、呼吸器外科無し
  • 近隣大学病院:外科(呼吸器外科)肺転移切除執刀医、拠点病院

■ 注目ニュース

■ ソースサイト

1)アンテナ


2)ニュース


3)論文


4)一般


5)薬



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*1:Stage 3b,ステージ3b

*2:はてなのサーバかエディタの仕様が変更になったようで、過去記事を編集保存しても文字化けしてしまうようです。数字やローマ字を組み合わせて代用しています。

*3:Stage 4,ステージ4

*4:地域がん拠点病院

*5:“LGR5 陽性ヒト大腸がん幹細胞の可視化とその標的治療”と私の化学療法所感|大腸癌(直腸癌)とある患者の所感

*6:国立がん研究センター東病院消化管内科長の吉野孝之氏に進行役を務めていただき、愛知県がんセンター中央病院薬物療法部部長の室圭氏と、大腸癌治療ガイドラインを中心に大腸癌治療の展望について議論していただいた。

*7:大腸癌治療ガイドライン 医師用 2016年版|遺伝性大腸癌診療ガイドライン 2016年版|大腸がん診療における遺伝子関連検査のガイダンス 第3版

*8:大腸がん診療における遺伝子関連検査のガイダンス 第3版 2016年XX月 日本臨床腫瘍学会 confidential

*9:今回研究グループが発見した化合物は、このがん幹細胞が腫瘍を形成する働きを抑え、「がんを根絶やし」にすることが期待できるものです。この化合物が治療薬として実用化されると、従来の抗がん剤が効かなくなった患者さんでも、新しい治療の機会が得られる可能性があります。研究グループでは臨床試験の前段階となる非臨床試験を実施中で、今後、大腸がんに対する新規薬剤として実用化を目指していきます。

*10:『遺伝性大腸癌診療ガイドライン』改訂案要旨、『大腸癌治療ガイドライン医師用2016年版』改訂、『大腸癌治療ガイドライン医師用2018年版(予定)』CQ改訂案

*11:手術後に化学療法が省略されることのあるステージIIにおいても、高リスク群では、5年再発率が19%と低くないことから化学療法を行なうべきである、また、ステージIII A/Bの低リスク群では、有効な反面、末梢神経障害をおこす薬剤を用いた化学療法は必要のない可能性がある、といったことが明らかになりました。|結腸がんにおいてもオンコタイプDX検査の有用性が確認されたことにより、わが国における遺伝子検査を用いたがん治療の個別化がさらに加速する可能性があります。

*12:遂に、ホームページに掲載されました。「大腸癌治療ガイドライン」の一般の方向けの解説も同サイトで更新されています。尚、大腸癌治療ガイドライン 医師用 2014年版を十分に理解するためには、大腸癌取扱い規約 第8版(金原出版)の購読が必要です。

*13:「腹腔鏡手術は二酸化炭素を絶えずお腹の中に入れて膨らまし続けながら手術をしますが、そうするとガスが腹腔内を対流します。そのことによって、こぼれ落ちたがん細胞が散って、腹膜播種を起こす恐れがあります。そう思われる症例に出会ったことがあるのです。」「先の『JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)0404』という臨床試験では、進行した大腸がんに対しては腹腔鏡手術が開腹手術と同等であることを証明できなかった。とくにT4がん、そして直腸S状部がんでは生存率において腹腔鏡手術が劣っていた。」

*14:2016年6月消化器がんの募集停止

*15:SCRUM-Japanからのメール抜粋| SCRUM-Japanでは肺がん、消化器がん症例のなかでも手術による治療ができない進行例を対象に、薬物治療の参考になる143種類の遺伝子の異常(点変異、遺伝子増幅、染色体転座)を解析しています。これらの遺伝子異常の多くはがん細胞ががん化の過程で獲得した「体細胞変異(異常)」であり、体質や病気のかかりやすさなどに関連する「生殖細胞系列変異、多型」は原則として対象にしていません。 SCRUM-Japanでは診断薬企業が開発した解析システムを利用して遺伝子解析を行っています。対象となる遺伝子の種類については一般には公開されておらず、SCRUM-Japanに参加している研究者にのみ開示されておりますので、あしからずご了承ください。 SCRUM-Japanにおける遺伝子解析は研究目的のために行われており、一般のがん診療に直接利用できるものではありません。ただし、最近はこうした遺伝子異常の結果をもとに新薬の臨床試験を行うことが増えています。 SCRUM-Japan事務局で集計した関連する臨床試験の情報は下記のウェブサイトに掲載されています。 肺がん:http://epoc.ncc.go.jp/scrum/lc_scrum/trial.php 消化器がん:http://epoc.ncc.go.jp/scrum/gi_screen/trial.php 

*16:今後、メトホルミンの作用を従来のがん治療法、例えばがんペプチドワクチン、チェックポイント阻害抗体、抗がん剤放射線療法、手術などと組み合わせることができれば、治療効果のさらなる改善に繋がることが大いに期待されます。

*17:Stage 3 大腸癌における病理学的因子の再発危険因子として,壁深達T4,リンパ節転移4 個以上,PN1,EX 陽性が有意な独立因子として抽出された.

*18:大腸癌の化学療法は,近年の新規分子標的薬の導入により,目覚ましい進歩を遂げている.RASをはじめとした,がん関連遺伝子変異と化学療法の有効性に関する報告やBRAF変異例に対する新規治療開発により,治療方法も個別化されつつある.現在明らかになっている遺伝子変異と化学療法の有効性に関する情報や,新規抗癌剤を含めた今後の治療戦略と将来展望について最新の知見を交えて報告する.

*19:【関連リンク】骨転移診療ガイドライン案

*20:原子炉等から発生する中性子とそれに増感効果のあるほう素との反応を利用して、正常細胞にあまり損傷を与えず、腫瘍細胞のみを選択的に破壊する治療法です。 | ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)とは

*21:末期の病態とされてきた癌悪液質の本態は、癌組織が産生するサイトカイン、特に I L - 6による宿主 - 腫瘍相互反応であり、10% 程度は臨床病期早期の段階から出現する。この病態は C R P、アルブミン値でスクリーニングでき、予後の改善のためには「難治性悪液質」に至る前段階で、IL-6をターゲットとするEPA添加食品を用いた免疫栄養療法の早期介入が QOLの向上には有用である。しかしながら生存期間の延長に関しては一定の見解は得られておらず、今後治療開始時からの免疫栄養療法の早期導入や分子標的治療を初めとする抗腫瘍療法との組み合わせなどが 期待されている。

*22:『患者さんと家族のためのがんの痛み治療ガイド』を解説 | 痛み治療はがん治療の一部。患者さんは痛みを積極的に訴えることが大事 | がんサポート

*23:機能性直腸肛門痛に対して両側脛骨神経刺激療法が奏効した1例 - _pdf

*24:EGFR阻害薬による顔面のざ瘡様皮膚炎に対するステロイド外用薬治療に関するランダム化比較第III相試験 - https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000027754